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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(オ)141号 判決 1949年11月08日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由は、末尾に添えた書面記載の通りである。

上告理由第一、二点に対する判断。

原告が訴を提起した請求の一部につき控訴審において請求の減縮をしたときは、それが訴の一部取下であるにしても或はまた請求の一部抛棄であるにしてもいずれの場合であつても、その部分については初より係属しなかつたものと看做されるのであるから、この部分に対する第一審の判決はおのずからその効力を失い、控訴は残余の部分に対するものとなるのである。従つて、これにつき第一審判決を変更する理由がないときは、控訴棄却の判決をするのは当然である。本件につき、第一審判決は、原告の申立の範囲内において、被告寺尾のぶに対し昭和二一年三月二日以降家屋明渡済に至るまで月額三〇円の割合による金員の支払を命じたのであつたが、原告は、控訴審の口頭弁論において、その請求を昭和二二年五月一日以降右家屋明渡までに減縮したこと記録上明らかである。されば、第一審判決が被告寺尾のぶに対し金員の支沸を命じた昭和二一年三月二日以降翌昭和二二年四月三〇日までの部分は、おのずからその効力を失つたものであるから、原審は、控訴を棄却したことにより、前記五月一日以降の支払を命じた部分を維持したこと明瞭である。それゆえ、原判決には所論のように当事者の申立ない事項につき判決をした違法もなく、また理由不備若しくは齟齬の違法もない。

よつて、本件上告を理由ないものと認め、民訴第四〇一条第九五条第八九条に従い主文の通り判決する。

以上は、当小法廷裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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